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ゆたかな低炭素社会づくり ライフスタイルイノベーションの挑戦

「環境・生命文明社会」で“黄金のジパング”を 石田秀輝・東北大教授に聞く

2014年4月17日

◇エコは目的でなく原点

「自然を押さえ込むのではなく、“いなして”いくという発想がいい」という元村有希子・毎日新聞編集委員

元村 環境に優しい製品を大量に消費すると、かえって環境に負荷を与える……「エコジレンマ」という問題がありますね?

石田 まさにジレンマ。テクノロジーがいくらエコになっても環境劣化にはそんなに大きく貢献できないという構造がある。大量生産・大量消費という社会システムを何も変えないで、その商材だけをエコにしても、エコは消費の“免罪符”にしかならない。結局大量生産・大量消費の概念で、看板だけがエコになる。それは結局買い替えにつながり、ほとんど環境に貢献できない。それも明快に分かっている。

元村 ではどう変わればいいんでしょうか?

石田 エコは目的でなくて原点。企業の目的は人を豊かにすること。それを忘れてエコエコといって、その免罪符にお墨付きをつけて、エコポイントだとか、エコと豊かさをてんびんに掛けることをしないで、エコは原点なんだと。エネルギー資源が制約される、その環境の制約の上に豊かであるという概念を作り上げる。言い換えると、企業はどういう豊かさ、ライススタイルを市場に提供したいかということを声高らかに宣言して、そのためにこういうテクノロジーを市場に投入しますと、そういうふうに変わるべきだ。

◇環境という制約の上に豊かさを

元村 生活者の方は、自分たちがどう変われば、環境・生命文明社会が実現するのでしょうか。

石田 新しい暮らし方は、従来の思考回路では見えない。例えばお風呂に入るという概念、2030年には毎日300リッターの水を湯船にためて、温めるということを4900万世帯がやり続けられないだろう。では、どうやってお風呂に入るか、普通の思考回路でいったら我慢するということがでてくる。でも我慢は豊かではない。だから、我慢をしないでお風呂に入るという概念を作らないといけない。それなら泡のお風呂を作ればいい。泡ならわずかな水で体をきれいにできるんです。お湯を張った湯船につかることはできないけど、新しい楽しみになる。

 その反対は自立型。その極端な例は自給自足型ですが、そんなライフスタイルは無理でしょう。その間にはさまざまなハードルがあって、そこを「間」と呼んでいるんですが、この部分を全然考えないで、自立か依存かという二者択一の選択をさせようとしている。どちらにもいけず、満足もできない、“間抜け”のビジネスがいっぱいで、「間」のあるビジネスを作らないといけない。

元村 泡のお風呂ですか。入ってみたいですね。

石田 似たようなものは、もう実用化されていますよ。従来の延長の足し算引き算の思考回路ではできない、そういうものをいろんな企業と一生懸命作っていかなければ。恐らく社会の予兆からすると、何かきっかけがあればがらっと変わるところまで来ていると思う。そのドライビングコースを作ってあげたい。それが心豊かに生きるということを担保しながら環境のことを考えているという新しい概念。そういうテクノロジーを導入して間を埋めていく。環境という制約の上に豊かさを作っていくんです。

◇沖永良部島で「間抜け」の研究

元村 16年前から鹿児島・沖永良部島に通って、4月からは定住されるそうですね。

石田 間抜けの研究の基地にしようと。3月いっぱいで大学の仕事を辞めて、移住します。

元村 移住のきっかけは? そこで何をやるんですか。

石田 終(つい)のすみかを日本の中で探してみようと思って、鹿児島から沖縄まで島をずっと一つずつ降りていく旅をしていたら、沖永良部島にたどり着いた。そのときはお酒が好きなので、黒糖焼酎に食いついたんだけど、それから16年、年4回くらい通ってきた。こういう仕事をするようになって、やっとわかったのは、沖永良部島には僕たちが失った日本のよさ、そういったものが完全に残っている。僕はそれにほれたんだということが、7、8年前から分かってきた。いまやっている「間抜け」の研究は、僕たちが失ってしまったものを、どうやって作り替えるかという仕事。沖永良部島でトレーニングを受けながら、間抜けの概念を構築していく。そこには無限大のビジネス、テクノロジーの種があるはず。それをどんどん発信していこうと、特許を取らないで、そういうことをやる人がいなきゃいけないと思って。

元村 石垣島でも奄美大島でもなくて?

石田 大きさの問題。循環型の社会ができる一番小さなユニットじゃないかな。1万3000人が住んでいて、一周60キロの島で、火力発電所があって、総合病院がある、そういう最も小さなコミュニティー。本当は東北でやれるのが一番だが、東北は、(気温が低いなど)環境が厳しくて、僕にはハードルが高すぎるんです

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