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井口機工製作所:ターンテーブルで世界へ “職人の技”で駐車場からレーダーまで

職人の技でターンテーブルを製造する井口機工製作所

 立体駐車場などでよく見かける大型ターンテーブル。車の向きを変えるだけと思える技術が、レーダーなどの特殊な用途や厚さ約8.5センチの超薄型製品などの開発に生かされている。日本の職人技で海外展開も進めるターンテーブルメーカーを追った。【猪狩淳一】

 井口機工製作所(本社・東京都練馬区)は1960年に精密機械部品加工メーカーとして設立された。そこで開発したベアリングの技術を生かして駐車場向けターンテーブルを製造。東京モーターショーなどで国内外の自動車メーカーの展示用ターンテーブルを担当するなど実績を上げ、現在ではシェア5割以上を誇るという。

 同社のターンテーブルは、駐車場やモーターショーなどの自動車向けだけでなく、レーダーを回す台座や医薬品の検査、トラックの車体検査などさまざまな用途がある。映画「男たちの大和/YAMATO」では巨大な戦艦大和の砲塔を回す役目を果たした。

 こうした特殊用途に対応できるのは、ターンテーブル製造に特化した技術を持ち、特に回転時のブレが直径8メートルのテーブルで1.25ミリ以下の精度を持つからという。その精度の高さから、電子機器の検査などで使われる電磁波の影響を排除した電波暗室にも利用されている。

 精度の高さを生むのは職人技だ。ターンテーブルの組み立ては全て職人の手による溶接作業。自重による溶接部のねじれを計算に入れ、実際に使用するときとは天地逆にしてわざと反った形で溶接し、設置時に水平になるようにしているという。

 この技術の粋とも言えるのが、厚さ8.5センチの薄型ターンテーブルだ。通常は床を掘り込み、駆動部を埋め込んで設置するが、薄型ターンテーブルは床に置くだけで工事不要なため、個人宅やショールームなどの需要がある。8.5センチに回転機工を組み込むために、井口良治専務自ら何度も設計をやり直して実現したという。

 同社のターンテーブルは海外需要も多い。韓国の自動車メーカーからの引き合いが相次ぎ、4月に上海でのモーターショーでも複数メーカーから受注。中国市場も視野に、韓国、中国での現地法人も設立した。

 大型の特殊ターンテーブルはドイツメーカーの競争力が高いため、4月に新工場を茨城県に開設し、直径15メートル以上の製品に対応するという。井口威佐美社長は「性能では海外に劣っていないので、積極的に海外進出を図りたい」と話す。

 意外なところにある日本のものづくりの技術が世界で飛躍するか、日本のターンテーブルメーカーに注目だ。

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