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サントリー健康科学研究所:脳の健康に脂質が重要 加齢による生成能力の低下、世界初の確認

脳と必須脂肪酸についての研究成果を語るサントリー健康科学研究所の柴田浩志所長

 2013年に65歳以上の高齢者が25.1%と、4人に1人を上回るなど超高齢社会となった日本。今、「脳の老化」への関心が高まっている。サントリー健康科学研究所は、高齢者の脳の認知機能に重要な栄養素とされる脂質のアラキドン酸(ARA)を人の体内で生成する能力が加齢によって低下することを世界で初めて確認した。同研究所の柴田浩志所長に脳のメカニズムと脂質の関係について聞いた。


 そもそもなぜ、脂質が脳に重要なのか。柴田所長によると、人間の脳は水分を除くと6割が脂でできているという。細胞膜が脂でできていて、脳は1000億個ともいわれる神経細胞を包む脂でぎっしりと詰まっているためだ。神経細胞から細長く伸びていて情報を伝える軸索を、電線の皮膜のように脂が包んでいるという。その脂の中でも脳に多く含まれるARAやDHA(ドコサヘキサエン酸)は、食事などで必ず補うことが必要とされるため「必須脂肪酸」といわれている。


 ARAとDHAは脳の中で学習をつかさどる「海馬」と呼ばれる部位に多く、脳の認知機能にも重要なかかわりを果たすといい、「脳の栄養素」ともいわれている。海馬からは新しい神経細胞が生成され続けていることが近年の研究で判明。脳の幹細胞を維持しているのがARAで、DHAが幹細胞の分化を促していることも分かっている。


 そのARAとDHAは、年齢とともに減少するといわれている。今回、ARAの一部が体内で生成されているが、加齢とともにその能力が低下していくことが分かった。特に日本人の6割が体内でARAを生成する能力が低い遺伝子型であることも判明した。


 柴田所長は「高齢化とともに認知症も問題となっているが、ARAとDHAが不足すると注意機能や記憶、前向きな気持ちにも影響するといわれている。年を取るとともに食事の量が減り、ただでさえ脂質の摂取が難しくなるうえ、体内での生成能力も落ちるため、脳の健康維持が大変になる。サプリメントなどで効率よい必須脂肪酸の摂取を心がける必要がある」と指摘する。


 今後の研究について柴田所長は「脳の老化の研究はまだ緒に就いたばかり。脂質が脳の中でどのようなメカニズムで機能していくのかを知り、脳の栄養素としてどれくらい取ればいいのかなどが分かれば、効果的な摂取方法が見えてくる」と語る。「高齢化が進む中、脳機能の研究など老化を科学することでいきいきと元気に年を取るアクティブシニアを増やしていきたい」と話している。

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