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聖地巡礼:インバウンド倍増のカギ 「スラムダンク」「らき☆すた」モデルに 聖地88カ所を選定

聖地巡礼はインバウンドを増やせるか

 2020年までに訪日外国人観光客数4000万人を目指す日本。2000万人にまでは順調に増えたが、さらに倍の人数にするには、さらなる観光資源開発と地方への誘導が欠かせない。現在、その可能性に期待されているのがアニメ作品。そのゆかりの地を巡る「聖地巡礼」に注目が集まっている。(経済界・古賀寛明)

 ◇四国巡礼の経済効果1650億円

 9月16日、出版社のKADOKAWAやJTB、日本航空などが中心となり、アニメの舞台やゆかりの地から88カ所を選定。その地を連携することで、インバウンド客も含めた観光客の誘致を促進する「アニメツーリズム協会」を設立した。理事長には、「機動戦士ガンダム」の生みの親である富野由悠季氏が、副理事長には、KADOKAWA会長の角川歴彦氏が就任した。

 人気アニメにおいて、その舞台となった街や場所は、ファンから「聖地」と呼ばれる。その場所をまるで巡礼者のようにファンが訪れるため、こうした旅を「聖地巡礼」と呼ぶ。今回、誕生したアニメツーリズム協会は、こうしたアニメの聖地や作者の誕生地、記念館などから88カ所を厳選し、それぞれの地域の行政や企業などと結び付けることで周遊観光ルートをつくり、より多くのファンに来てもらおうと考えている。また、観光資源としてアニメ作品に注目し、それを核に地域活性の呼び水にしようといった狙いもある。88という数も四国八十八カ所霊場を巡る巡礼から着想を得たようで、四国中を巡るお遍路さんのようにアニメファンが全国を巡る姿を想定しているようだ。

 一般的に巡礼は、宗教的意味はもちろんだが、経済波及効果においても大きな意味を持つ。イスラム教のハッジといわれる大巡礼には今年も190万人の巡礼者が世界中から聖地メッカを訪れた。お遍路さんの経済効果も、宮本勝浩・関西大学名誉教授の試算によれば、約1650億円(16年)も効果があり、その8割の1320億円が四国を潤している。お伊勢参り、大山参りなど昔にさかのぼってみても、日本人の巡礼はひとつの旅の形態であり、なじみ深いスタイルである。そういった面ではアニメといえど、地域を潤す効果的な方法なのかもしれない。

 そもそも聖地巡礼のような作品の舞台を巡る旅は、何もアニメに限ったものではなく、広くはフィルムツーリズムと呼ばれる。北海道富良野市が、日本有数の観光地になった理由のひとつにもフジテレビ系ドラマの「北の国から」の影響が大きい。海外に目を向けても、ローマに行けば、映画「ローマの休日」ゆかりの地を巡る観光客は多く、ニューヨークでも数々の映画から多くの人気の観光地が生まれている。アニメでも、9月16日現在で、65億円を突破した話題の映画「君の名は。」の舞台である東京都新宿区や岐阜県の飛騨市で、印象的なシーンのモデルとなった場所を探し歩くファンが後を絶たないという。

 このようにアニメ作品を含む数多くの作品が、人を呼び寄せ、その土地にお金も落としてはいるが、果たしてインバウンド客までも呼び寄せることはできるのだろうか。

 ◇アニメを窓口に地方へ誘導

 神奈川県鎌倉市にある江ノ島電鉄・鎌倉高校前駅近くの踏切にはなぜか、多くの外国人観光客が七里ケ浜の海とともに江ノ電の踏切を撮影している。ここもアニメ「スラムダンク」に登場する場所のモデルとなった聖地で、その大多数が台湾人、次いで香港、中国からの観光客だ。既に放映開始から20年以上もたっていることもあり、子どものころに影響を受けた作品の舞台を大人になって訪れる人が多いのだそうだ。中でも台湾と湘南の縁は深く、江ノ島電鉄と台湾鉄道は1日乗車券の相互無償交換を13年から行い観光連携を図っていたが、16年3月には友好鉄道協定を締結。こうした提携深化の裏に聖地巡礼が関係していることは間違いない。

 アニメコンテンツの強さは、「スラムダンク」のような誰もが知っている作品だけではない。埼玉県久喜市(旧鷲宮町)を舞台にした「らき☆すた」は、老若男女が知っているアニメではないが聖地巡礼のモデルケースとして知られる。この作品の聖地である鷲宮神社の初詣客は、放送前には9万人だったものが放送後に一気に30万人にまで増え、近年は47万人前後で推移している。以前、久喜市商工会鷲宮支所に取材した時にも「中国、台湾、韓国からの観光客も増えてきた」と話していた。日本人が思っている以上に、アニメ作品の人気は高く、また、ファンの聖地に対する思いも強いことが分かる。

 しかし、発足したばかりのアニメツーリズム協会が考えるような88カ所を巡る周遊観光ルートがうまくいくかどうかは不明だ。アニメと一口でいっても、テーマやジャンルはさまざまであるし絵のタッチもまるで違う。また、地域との連携が欠かせないため、潜在的な需要があっても、地域の実力者が保守的などといった理由で新たな取り組みに積極的ではないことも考えられる。実際にそういったケースは多い。だからこそ、まずは成功事例をつくり、数字という分かりやすい指標を示すことが重要になる。

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