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NTTドコモ:情報通信で漁業支援 被災地・宮城の養殖場で実証実験

ドコモ東北ビルで行われた「ドコモ 東北復興支援の会」の様子

 NTTドコモは、東日本大震災の被災地の産業振興などを目的に、宮城県東松島市のカキ、ノリ養殖漁場で情報通信技術(ICT)を活用した漁業支援の実証実験を始めた。養殖漁場に通信機能を搭載したブイを設置し、ブイから漁場の水温データを収集、蓄積して、漁業従事者がその水温データをスマートフォンやタブレット端末を使って確認・管理する。水温データを活用して水産物の生育の効率化を図り、品質や生産性の向上につなげる。

 同社が取り組んでいるさまざまなパートナーと協力し、新しい付加価値を作り出す活動「+d(プラスディー)」の一環で、昨年から農業分野で+dの活動に取り組んでおり、漁業分野では今回が初めて。今回の実証実験は、同社のほか、ソフトウエアの設計などを行っている地元企業のアンデックスなども協力している。

 実験では、同市の東名(とうな)漁港のカキの養殖漁場と大曲浜漁港のノリの養殖漁場にセンサーや通信機能を搭載した「ICTブイ」を合計8基設置し、そこで測られた水温データが1時間おきにNTTドコモのクラウドサーバーに送られる。漁業従事者はスマートフォンやタブレット端末上の専用のアプリを使って収集されたデータを確認し、生育に生かす。

 カキやノリの生育において水温は非常に重要で、これまでの勘と経験に頼った仕事から、蓄積された水温データを活用することで時期を適切に捉えた採苗や育成などが可能になり、効率的に生産性を高めることなどができるという。

 水温管理のアプリはアンデックスが開発。アプリのホーム画面は、直感的に今の海の状態がわかるように、把握したい拠点の今の海水温や積算温度が表示される。このほか、時系列での水温の推移、ブイの場所がわかる地図、過去のデータと比較する折れ線グラフの画面などを表示できる。あらかじめ設定した水温を超えると検知してメール通知するアラート機能も備えている。

 実験期間は来年3月31日までで、NTTドコモは、将来的に今回の取り組みをサービス化し、事業として確立させることを目指しており、事業化することで、地域の水産支援のほか、地元企業の雇用創出にも期待できる。

 この取り組みはこのほど、ドコモ東北ビル(仙台市青葉区)で行われた催し「ドコモ 東北復興支援の会」で報告された。NTTドコモ東北復興新生支援室の佐藤一夫さんは「これまでの経験と勘に頼るようなことではなく、データに基づいた効率的な生産活動ができる。また、(生産性を上げ)漁労所得を向上させて、“かっこいい漁師”やスマートフォンを活用した“スマートな漁師”というイメージを出していき、(漁師の)職業としての魅力も増すことができれば」と期待を語った。

 また、同支援室長を務めるNTTドコモの高木一裕常務は、これからの展望について、「まずは東北から始めて、うまく成長させ、東北発の全国的事業に育てていきたい」とし、「人口減少、産業の空洞化などは日本全体の社会的課題だが、私どものアセットやICTの力で少しでもその課題解決に対して貢献できれば」と語った。

 「ドコモ 東北復興支援の会」では、同社の震災復興支援活動が紹介されたほか、NPO法人「東北開墾」の高橋博之代表理事や東北大学大学院農学研究科東北復興農学センターの中井裕・副センター長らが出席し、「農業の現状と課題」などをテーマにしたパネルディスカッションなどが行われた。

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