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地熱発電:FIT見直しで注目 効率発電でエネルギーの“地産地消”なるか

注目される地熱発電のプラント

 太陽光などで発電した電気の買い取りを電力会社に義務づけた再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)で、今年1月の見直しにより、電力会社による太陽光と風力の買い取りが無制限に抑制できるようになり、7月からは太陽光発電の買い取り価格も大幅に引き下げられた。そんな中、日本が世界3位の資源量を誇る地熱発電が注目を集めている。

 再生可能エネルギーは、2011年の東京電力福島第1原発事故による電力不足などで注目を集め、12年7月にその導入を促進しようとFITが始まった。特に買い取り価格が比較的高く設定され、パネルを設置するだけで導入できる太陽光発電に多くの企業が参入した。

 その一方で、再生エネの発電で9割以上を太陽光が占めるなど偏重していることや、買い取りのコストが電気料金に跳ね返ることについて経済界などから批判の声が上がり、FITの見直しが進められた。今年1月には、再生エネ発電による送電電力量が電力会社が設定した「接続可能量」を上回る場合、太陽光・風力発電事業者は電気の買い取りが「無補償」で抑制されるようになった。さらに、発電能力が10キロワット以上の事業用太陽光発電は、普及が進み、発電効率がよくなっていることなどをから、買い取り価格そのものも見直され、14年度の1キロワット時あたり32円を、15年4~6月は29円に、7月からは27円にそれぞれ引き下げられた。

 こうした再エネ活用の政策変更により、事業者のマインドも変わり、自然エネルギー財団が昨年秋に実施した事業者への調査では、78%の事業者が今後3年間で太陽光発電市場が縮小すると回答。「買い取り価格の見通しがない」「政府の導入目標が不透明」などが事業のリスクとなっていると答えている。

 そんな中、新たに脚光を浴びてきたのが地熱発電だ。日本は、狭い国土の中に活火山が集中しており、地熱資源量は2300万キロワットと豊富で、米国の3900万、インドネシアの2700万に次ぎ世界3位を誇る。だが、発電に利用されているのはわずか2%で、米国の約3000メガワットに対し、約500メガワットと6分の1程度にとどまっている。

 日本では、活火山のある地域の大半が国立公園に指定されているため、開発が厳しく制限されていることに加え、温泉をくみ上げる巨大な発電設備を設置して事業を開始するまでに長期の工事や膨大な費用が必要だ。さらに設備の設置などで景観が壊れたり、温泉の湯量や温度に影響したりすることについて地元の不安があることなどが導入のハードルとなっていた。そこで今回のFIT見直しでは、地熱についての買い取り価格は据え置かれ、抑制の対象にもしないなど導入促進に向けた配慮がなされた。

 こうした状況を受け、事業者も太陽光発電から地熱へのシフトを模索する動きが出てきた。太陽光発電・蓄電システム開発販売を行う「グローバル・リンク」(東京都千代田区)では、温泉の蒸気を利用して、沸点が低いアンモニアなどの2次媒体を沸騰させてタービンを回して発電する「バイナリー発電」に着目した。

 同社の冨樫浩司社長は元々蓄電池を開発していた技術者で、東日本大震災で再生エネに注目が集まったことから太陽光発電事業に参入した。その中で、蓄電池をカスタマイズすれば比較的小規模な設備で、効率のいい発電が可能になり、温泉の蒸気を利用すれば温泉を利用している地元の理解も得られるとみて、長野市の温泉施設を買い取って地熱発電に参入。年度内に九州や東北などで10基のプラントを設置したいという。冨樫社長は「温泉で無造作に捨てられている蒸気に注目した。発電した電気は、地元の旅館やホテルなどで利用していきたい。また、設備には発電所なみのメンテナンスが必要で、これは地域の雇用にもつながる。地元と協業しながら町おこしを含めて、地熱発電を推進していきたい」と語っている。

 巨大な設備を持たず、小規模な施設でエネルギーの“地産地消”を目指す取り組みは、再生エネルギー利用のポイントになりそうだ。今後、こうした動きが普及するか注目したい。

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